【信州路 白須松原・六本松・白洲ノ古松】

【信州路 白須松原・六本松・白洲ノ古松】
駿河の清水、興津、蒲原、富士、鰍沢、韮崎の順路で、台ケ原、教来石、蔦木に至る道であるが、この道筋のうち韮崎以北は、釜無川やその支流がしばしば氾濫して橋梁を流失し、沿岸は荒廃していたので、通路として古くは河内路より大井郷に出て、西郡路から甘利山の麓を清哲、宇波円井、武川村(町)の黒沢、山高、柳沢を経て、横手本村(いま「閑の桜」の木のあるところ辺に関所があったという)、菅原村(現白州町)の竹宇・前沢 (田沢)・鳳来村(現白州町)鳥原・教釆石・山口に至ったものである。
 国志に「白須ノ松原・白須・鳥原両村ノ間釜無川原ニ在り。濁川其中ヲ流ル、松樹密生シテ稲麻ノ如ク、皆直幹雲ヲ払フ公林ナリ、白砂清麗ニシテ、海浜ヲ望ム光景アリ。白州ノ名虚シカラズ、甚賞翫スベシ。松茸・麦茸(シュロ)多シ、其内ニ「一株六幹ニシテ頗ル奇ナル松アリ、是ヲ六本松」卜呼ブ、又萩乾場卜云フ所ニ、「白州ノ古松」卜称スル古木アリ」 とあり、延々一里におよぶ松林は、道行く人の旅情を慰めた。