歴史の中の子供たち いくさごっこ

歴史の中の子供たち いくさごっこ

 

『風俗画報』から

 鎮守の境内で、子どちらが二手に分れて擬戦に興している。

旭日旗を手にした日本車が清国軍を撃ちまかして、

「敵兵」を捕虜にしたというのである。

流行の軍服を着た子もいる。

 子どもの遊びには、時代の動きを反映して流行するものも少なくないといわれる。

軍歌をうたい、軍人に扮装して行進を真似したり、

旗章を掲げ、竹枝などを銃に擬して闘ったりする

「軍(いくさ)ごっこ」が、さかんに行われるようになったのは、

日清戦争以降のことで、この遊び、

京国強兵のかけ声のなかで勇壮な遊びとしてもてはやされたが、

子どもたちの心のなかには、

このような遊びを通して知らず知らずのうちに、

「敵国兵」に対する蔑視感が育てられ、

他国を侵略すらことに疑問を感じない気持が培われていったのである。

 いま、侵略を「進出」に改ざんさせる歴史の歪曲が押し進められているが、

 かつて子どもらの間に流行した遊びをみても、

ひきおこされた戦争の真実をおおいかくすことはできまい。