新羅明神《新羅三郎義光が元服した場所》   兎園小説(瀧澤馬琴)

新羅明神新羅三郎義光元服した場所》   兎園小説(瀧澤馬琴)
 新羅明神三井寺北院現在谷に鎮座也。祭神は素盞鳴命(須佐之男命)也。此神五十猛神を師て新羅国に至り、智證大師唐土より帰朝の時、船中の佛經を擁護して日本に帰り給ふに依て、新羅明神と崇め現在谷に鎮座也。其後永正十年九月二十一日、明尊始めて祭祀せしにより、今なお九月二十一日佐竹家より供物有。新羅法楽の歌の會に、俊頼褒貶の巻有。それより今に至るまで、和歌の法楽を供するを式とす。卜部兼邦が歌に、
  新羅より三井の流れにやどり来て
 いく代住むべき神のこゝろ