《白州町 地下水の保全》(「白州町誌」平成14年、この20年より)

《白州町 地下水の保全》(「白州町誌」平成14年、この20年より)
 
「水の町白州」には、全国でも先進的な水資源保全の取り組みとして、行政と水関連企業が手を携えた「白州町地下水保全・利用対策協議会」があり、地下水の適正利川と水質保全を図っている。同協議会の発足は、平成10528日。ミネラルウオーターの生産量が日本一の山梨県にあって、白州には大手メーカーのミネラルウオーター工場が立地し、良質な地下水を採取している。このため、年問10万トン以上の地下水を採取しているサントリー白州蒸溜所、熊本県果実連、シャトレーゼ、白州ヘルス飲料、泉食品の企業五杜と、町常簡易水道を管理している白州町とが会員になって、将来にわたって安定的に水資源が利用できるよう活動をすることにした。
これまでに、同町鳥原など四カ所に地下水位の定点観測用井戸を設置。長期的な地下水位データの収集をしている。また、平成11年度からニカ年計画で、水源滴養状況を把握するための水元調査を行った。地下水を涵養する森林や水田の而積、地下水の流れ、河川の流量、雨量などを総合的に判断し、地下にどのくらいの水が浸透しているのか、どのくらいの水が保有されているのかなどを調べた。この結果、町内に供給される地下水は日量で約11万トンになると推測されている。同協議会に加盟する水関連企業と、町営水道を合わせた年間取水量は、年間350400万トン規模といわれており、水資源が数量的に圧迫されるほどのデータではない。しかし、地下水位の変化は時期によって変動を示しており、実際にどのような影響を及ぼすのかは未知数な部分もある。同協議会は、各種の調企データを今後とも蓄積をしながら、生活用水の確保と地域産業の健全な発展を目指している。
こうした大規模な地下水保全の試みのほか、昭和63年に「白州町地下水の保護及び採取適正化に関する要綱」が制定されており、別荘などの小槻模開発にともなう小口の井戸ボーリングにも対応している。過剰な地下水採取に走ることなく、白州の財産である水を守る営みを継続していくことが、将来にわたって名水の里であり続けるためのカギとなるのである。