武川衆、青木氏（青木村）『甲斐国志』

Ø 青木経光--義虎--信定--信定

系譜曰、源八時信ノ男、十郎時光以青木為氏号時光ノ男十郎太郎経光ヨリ十世弥十郎義虎（一系ニ経光男尾張信連、尾張貞義、十郎義遠、尾張安達男義虎、六世トス）義虎男尾張守信定、天文十丑年十月廿日逝ス常光院殿昆耶浄賢居士、妻ハ、芳林妙香大姉、行年六十一

同年十二月武田八幡宮棟札ニ青木尾張満懸トアリ。

同社元和三年青木囚獄奉納ノ絵馬アリ。

Ø 青木尾張守信立

信定ノ男尾張守信立、天正十八年六月十三日逝ス。年七十三。泰翁乾康庵主、妻ハ柳下審理大姉。

　軍鑑伝解ニ永禄四年河中島ノ役ニ典厩ノ後見尾張守信立深手負ヒ落馬セシヲ弟山寺甚左衛門主従ニテ備ウラヘ引退ケ山寺ハ返シテ討死トアリ。又長篠ノ役ニ青木主計討死ノ事ヲ載ス

（永禄十年下郷起請文ニ六河衆青木与兵衛信秀、同兵部少輔定満、各々花押アリ信正トハ見エス「編年集成」天正壬午（十年）七月ノ記ニ信秀ニ作ル文誤ナルヘシ）

信正ノ男尾張守信時、信時ノ男与兵衛信安、壬午ノ後幕府ニ奉仕ス。

信時ハ慶長五子年十一月二日逝ス。又山全長居士、妻、元和七酉年七月三日逝ス。三窓慶寅大姉、信安ハ元和九亥年八月廿日逝ス。雄山玉英庵主、妻ハ慶安二丑年八月廿五日歿ス。安室寿貞大姉。馬場民部ノ女ナリ。

（天正三年末年九月南宮修造勧進帳ニ青木弥左衛門満定、同菅次郎豊定、

各花押アリ。軍鑑ニ甘利衆青木弥三左衛門見エタリ）

「編年集成」ニ、慶長元年青木尾張信治ノ養子、青木清左衛門御家人ニ列ス、実ハ落合常陸ノ子ナリ。天正六年ノ記ニ、八拾石青木与兵衛信安、弐拾石青木清左衛門トアリ（慶長郷村帳ニ青木与兵衛八百四拾四石ノ高也。八拾四石八斗六升新奥村、百弐拾壱石九斗壱升若尾ノ内、百八拾壱石六斗六升樋口村、三百八拾石壱斗七升青木村トアリ余ハ剥落シテ知レズ）

信安ノ男与兵衛信就、実ハ山寺甚左衛門信光ノ男ナリ。明暦三酉年二月五日逝ス。無得道雲居士、妻同二申年九月四日逝ス。性宝月大姉、永田平兵衛ノ女ナリト。右本村常光寺ニ列スル所ノ位牌ナリ世次疑フヘキ者アリト雖モ書シテ後考ニ備フ。