釜無川(かまなしがわ)(「山梨百科事典」山梨日日新聞社刊)

釜無川(かまなしがわ)(「山梨百科事典」山梨日日新聞社刊)
 
 富士川上流部を呼称する。甲斐駒ケ岳の付近に発源して、北東に流れる。長野県富士見以東ではほとんど糸魚川一静岡構造線に沿って流向を南東に転じ、大小の支流を合して南流し、甲府盆地にはいって富士川となる。北岸では八ケ岳火山すそ野を浸食し、ことに日野春から韮崎付近にかけては、八ケ岳火山泥流たい積物から成る七里岩の台地をかかげ、南岸では上円井付近に3段の河岸段丘を残す。信州往還(国道20)は第2段丘上を、河岸に沿って北丙に走る。<小林福造氏>
甲斐駒ケ岳(2966)の山頂北西の七ツ釜に源を発し北流、八ケ居から発する瀬沢川を入れて南下、小武川・大武川、甘利沢・塩川・御勅使川などを合し、笛吹川、耗川の2川と合流して富士川となる。日本三急流の富士川の上流だけに、南アルプスとともに見事な自然美をなす。「釜」(かま=深淵)の「無」い川とか、河水が暖かいために釜を必要としないので「釜無」という説(いずれも「甲斐国志」)、はんらん隈(くま)なきゆえに「隈無し」とか、巨摩郡貫流する大河のゆえに巨摩の兄()であるとか諸説がある。県北部の文化の導入路であるとともに古来、水害で有名。
1898(明治3)1907(明治40年〕、1910(明治43)年に続き、1959(34)年の7号、伊勢湾台風による水害の被害は甚大であった。信玄堤、御幸祭、「粘土節」など水防に某づく歴史、伝承がすこぶる多い。アユ、ヤマメ、ハヤ、ウナギの好釣り揚。<山寺仁太郎氏著>
釜無川は富土川の本流である。河川台帳の上では富士川に含まれて存在しない。しかし、源流から山梨県市川大門町の南で笛吹川を合流するまでの約11.3㌔㍍を、俗に「釜無川」と呼ぶ。