白州町に関わる和歌 『白州町誌』

白州町に関わる和歌 『白州町誌』
 
 白州町は山紫水明の景勝地の故か、古来多く歌に詠まれている。以下昔の和歌を尋ねながら現在の作者の歌を記述する。
 白須松林址には、御歌所寄人 大江正臣書の豪壮な歌碑が建てられている。
   季花集所載 征東将軍宗艮親王
    甲斐のしらすといふ所の松原のかけにしばしやすらひて
かりそめの勺行かいちとはききしかと
           いさやしらすのまつ人もなし
   
しらす         作者不明
八千代まてともにしらすのひとつ松
           へぬる齢をいのりすみつる、
                 作者不明
いましほししはしと日をやくらづまし
           夏をしらすの松の下道
以下十五首は、内藤恭義編(白州町古歌)所載
                 宮小路敬直
この秋の御幸をまつの下かげに
           御代を歌ふてとる葺かな
   
                 作者不明
ゆけどゆけどかぎりしらすの松林
           秋のかをりのただならぬかな
 
              藤原為家
浦とほきしらすの末のひとつ松
           またかけひなくすめる月かな
 
             河野茂明
庭つ鳥あけぬと告る山口の
           関に分るるみねのよこ雲
   
 花水坂にて       鳥丸光宏卿
丘おぼふ霞にあまる富士の板に
           思ひをかほす山桜かな
 
             腰巻正興
立とまりみてもこえなん隈無川(釜無川
           咲きちる浪のはなみつの坂
 
             清水吉見
隈なし(釜無)のその川面のくまなくて
           霞をわたる花水の橋
 
             山田丈臣
君か代のかきりはいさやしらすなる
           千本の松を数とかもみん
 
             堀内重雄
うきことはしらすの里に君か代の
           千代の栄をまつのむら立
            荒木田久老
山住の柴の編戸の朝明に
おとなふものほ嵐なりけり
 
               矢崎好貫
しくまなしの水に暑さや洗ひけん
           涼しくむかふ川津らのやど
 
               輿石守郷
若鮎つる釜無川は濁るなる
           駒が高根に夕立やふる
 
               茅野真道
時しらぬ雪かとほかり真砂して
           くまな河原にすめる月影
 
池原香樨父
たちつつくしらす松原たちてぬて
           家なる妹がわれを待つらん
 
               池原香樨
みれどあかぬしらす松原かくなから
           しらすいくよの年かへにけん