神代桜『大桜集』 武川町、明治時代の和歌・漢詩 明治時代(『武川村誌』一部加筆)

神代桜『大桜集』 武川町、明治時代の和歌・漢詩 明治時代(『武川村誌』一部加筆)
 
 明治十五年(一八八二)塚原幾秋(白州町下教来石の人)の発行したものである。この中に武藤保道の和歌と米倉瞭、野本馨、小沢又市の漢詩が掲載されている。               
山高桜 武藤保道
  珍らしき人母( ひとも)とひけり ( め ) ( ず )らしく もとえににおふ山さくらかな
 
    山高桜 米倉 瞭
  春央に、習々たる谷風歛まる、正に桜花の、半ば綻ぶるの時、
  樹下の徜徉、看れども飽かず、僧に請い、折り取らん、両三枝。
 
        野本 馨
  峡中、太だ愛す七尋の桜、万来の淡紅、限を照らして明かなり、
  酔後、強めて枝上に登り酌めば、翩翩たる花弁、杯に入りて清し。
 
        小沢又市
  数朶の紅雲、寄、また麗、妖姿、嬌態、春暉を弄ぶ、
  今春も亦復た、人を雇うて閲す、旧に依り盤根、七拱して囲む。